28. 兵庫県立考古博物館オープン
 兵庫県立考古博物館の展望塔
2007年10月13日(土)にオープンしたばかりの 兵庫県立考古博物館(ひょうごけんりつこうこはくぶつかん)へ家族で行ってきました。この新しい博物館では、キャッチコピー「触れる・体感する、考古学のワンダーランド。」に示されているように、観覧者が展示物にさわって、展示内容に参加して、体感しながら考古学を楽しむことができるように全館を通して工夫がなされています。兵庫県加古郡播磨町にある弥生時代中期から古墳時代中期にかけての集落遺跡、 大中遺跡(おおなかいせき)の公園「 播磨大中古代の村(はりまおおなかこだいのむら)」に建設され、サイト・ミュージアムとしての性格もあわせ持つため、博物館の建物の外観は、周辺の風景にとけ込むようなデザインが採用されています。そのなかで、ひときわ目立つのが、弥生時代の集落にある高殿(たかどの)を想わせるデザインの展望塔です。
 兵庫県立考古博物館の全景
兵庫県立考古博物館は兵庫県の西のほうにあるので、大阪方面から行くには「よし、行くぞ」とちょっと気合いを入れて出かける必要があります。大阪南部のhassanの家からは、高速道路を利用して車で1時間半ぐらいかかりました。もよりのインター・チェンジは、加古川バイパス明石西ICです。駐車場は、有料の播磨町営大中遺跡公園駐車場を利用することになります。オープン間もない週末の当日は、来館者が多く、近隣の町営駐車場が満車だったので、500mほど離れた場所に用意された博物館来館者専用の無料臨時駐車場を利用しました。
館内へ入って、まず驚くのが無料ゾーンの広さです。体験学習室・考古学情報プラザ・講堂などが1階に、ネットワーク広場・バックヤード見学デッキが地下1階にあり、屋上には展望塔があります。館の面積の多くを占める無料ゾーンのこうした施設の充実度は、来館者・兵庫県民に博物館と親しんでもらおうとする基本コンセプトがしっかりと具現化されていることの証しだと思います。
受付で観覧券を購入して有料ゾーンへ入ると、すぐ右側に体験展示室「発掘ひろば」があります。発掘ひろばには、本物の住居跡をまるごと運んできて遺跡発掘調査現場(いせきはっくつちょうさげんば)が再現されています。入口付近には「県立考古博物館建設に伴う 大中遺跡発掘調査」の立て看板があり、奥には写真撮影用の足場が組み上げられ、壁面にはプレハブの現場事務所の絵が描かれ、発掘現場が館内に再現されています。また、駐められているバックホーを動かすことはできませんが、子どもが運転席に座ってレバーを握ることもできます。
発掘ひろばのメインポイントは、子どもが発掘遊びをすることができるコーナーです。係のかたに申し出て、サイズの合う長靴を履いて手袋をはめてヘルメットをかぶり、子ども用の手掘り道具を持って砂場で潮干狩りのように掘ると、いろいろな「出土遺物(しゅつどいぶつ)の複製品」が出てきて、それを遺物取り上げ用のコンテナへ入れます。本当の発掘調査での遺物検出作業とはまったく異なる簡単な遊びですが、子どもたちが楽しみながら遺跡発掘調査の雰囲気を味わう工夫がいっぱいです。実際の発掘調査では、現場での外業としては測量・遺構実測(いこうじっそく)・土層断面実測(どそうだんめんじっそく)・遺構写真撮影などが行われ、調査事務所などでの内業としては、出土した遺物の洗浄作業、調査記号を付けるネーミング作業、バラバラで出土した遺物の接合作業、出土品の足りない部分を石膏などで補う復元作業、出土品の実測図作成などが行われています。この「発掘ひろば」では、内業での接合作業を体験するような気分で、バラバラに分割された複製品の出土品をパズルのように組み合わせて楽しむコーナーも用意されています。
 体験展示室 発掘ひろば
 体験展示室のバックホー展示 運転席にすわることができる.
有料ゾーンの右奥には「特別展示室」が、左側には常設展示の「テーマ展示室」があります。テーマ展示室には、子どもたちが手で触って体感できる展示品や設備がいっぱい用意されています。古代の人の衣装を着て、記念写真を撮ることができるコーナーもありますし、「すごろく」もあります。テーマ展示室の展示品等には「フラッシュ撮影可」・「写真撮影禁止」などのプレートが個別に掲示されているので、写真撮影が許可されているかどうか個別に確認することができます。
 子どもがさわって楽しめる展示がいっぱい
無料ゾーン地下1階に降りると「ネットワーク広場」があります。端末を操作して、兵庫県内の博物館情報をチェックすることができます。広場のフロア上には、兵庫県を中心とした近畿地方の衛星写真画像が大きく貼り付けてあります。ネットワーク広場のよこにある「バックヤード見学デッキ」では、発掘調査で出土した遺物を接合・復元して整理しているようすを、いつでもガラス越しに見学することができます。
 ネットワーク広場のフロアに、兵庫県〜大阪府の衛星写真が. 自分の家がどのあたりか、わかるかな?
無料ゾーン1階にある「考古学情報プラザ」の本棚には、兵庫県下の発掘調査報告書や市史などの地方誌などが並んでいて閲覧することができます。書籍の充実はこれから徐々に進められていくことでしょう。また、常駐しておられるスタッフのかたと交流すれば、考古学情報に関するいろいろな質問もできるようです。
 考古学情報プラザ
 竜山石でつくられた奈良県見瀬丸山古墳の刳抜式家形石棺 ミニチュアレプリカ (無料ゾーン1階ホール)
無料ゾーン1階にはほかに、おしゃれなカフェや、講堂、体験学習室があります。体験学習室は3つの部屋が用意されていて、子ども向け体験学習事業を重視するこの博物館の運営方針が伺えます。この日も体験学習イベントが催されていて、たくさんの子どもたちで賑わっていました。
高さ約22mの展望塔にエレベータで昇れば、広大な遺跡公園「播磨大中古代の村」を一望することができます。展望塔から周囲の風景をみていると、公園の一角に青いボディーカラーのディーゼル機関車が駐まっているのをみつけました。 播磨町郷土資料館の屋外に展示保存されている車両で、 別府鉄道でむかし活躍していたディーゼル機関車DC302と、客車のハフ5です。別府鉄道とは、1984年まで営業運転されていた鉄道で、この保存車両は、野口駅〜別府港駅をむすぶ野口線や別府港駅〜土山駅をむすぶ土山線で走っていたようです。郷土資料館の係のかたに申し出れば、車両のなかを見学することもできます。
 資料館の屋外展示 別府鉄道車両
また、播磨町郷土資料館のそばには、弥生時代の竪穴式住居(たてあなしきじゅうきょ)も何棟か復元展示されています。播磨大中古代の村の広場で子どもたちを遊ばせたり、お弁当を食べたりして、ゆっくりとした時間をすごすのも楽しそうです。今後も兵庫県立考古博物館では、子ども向けの体験学習イベントをたくさん開催されることでしょう。ぜひ一度、播磨大中古代の村と兵庫県立考古博物館へ、子ども連れでお出かけしてみてはいかがでしょうか。
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