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334 高松塚古墳・私感2
2006/5/26(金)09:16 - 山口昌美 - ins165.ibaraki-ip.dti.ne.jp - 4190 hit(s)

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高松塚古墳壁画の価値・位置づけ・評価などは、歴史学、考古学及び美術の問題であり、歴史学者、考古学者及び美術学者?(美術史家?)が担当し、考察するのが当然であろう。

 しかし、壁画の劣化防止や保存となると、話が違ってくる。そこでは、石室や壁画をモノとして捉える視点が必要になる。壁画の退色防止であれば、顔料・色素の材質を化学的に把握し、その顔料・色素に対する外的条件(湿度・温度・雰囲気)の影響を文献調査し、科学的に考察し、対策を立てることが必要になる。壁画基層の崩壊防止であれば、基層の材質について同様な調査・考察・立案が必要であろう。
 微生物の被害防止であれば、微生物の生存・増殖・死滅に関する知識が必要となろう。

これらは、歴史学者、考古学者及び美術学者?(美術史家?)の担当分野ではなく、化学者や微生物学者の分野である。

 「各界研究者の英知を結集した」とされる高松塚古墳保存対策調査会やその後身の同種の会には、化学者や微生物学者は入っていなかった。カビによる壁画劣化が顕在化して2004年に発足した国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会でさえも、当初は外部の微生物学者不在であり、登場するのは2005年5月の委員会名簿からである。外部の微生物専門家や殺菌、防黴防菌の技術者の意見を参考として聴取した形跡もネットでは2005年5月まで見あたらない。

既に発表した「高松塚古墳の壁画劣化をなぜ防げなかったのか」(季刊邪馬台国91号)と重複するので、詳論は避けるが、微生物専門家不在の状態での32年間カビ対策、というのは何とも解せない状況である。

 発見初期段階において、委員会を組織した関係者の視野の狭さが委員会構成の不備をもたらし、それが劣化の遠因になったと思う。


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