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![]() | 覚書5 販売されないわけ&販売されるわけ | ![]() |
この前の3月に『狭山池 埋蔵文化財編』が刊行された。長年の間、調査と整理作業に携わってきた狭山池の発掘調査成果がようやく形となった。ちょっと例えようのない喜びだ。努力が報われたというものだ。
狭山池の発掘調査では多くの成果が得られたため、この報告書のデータ内容は重要視されている。古墳時代の研究者からも、文献史学(古代史・中世史・近世史)の研究者からも、船舶史の研究者からも、土質工学の研究者からも、土木関係の研究者からも、この報告書の刊行を期待されていた(ハズだ)。
ところが、この報告書の刊行部数は極めて少ない。配布先は、従来からの図書交換先や主要な図書館のみに限定することになった。個人へ配布したのは、ご指導を頂いた先生方や、調査・整理作業・執筆にご協力を頂いた方々だけだ。
予想通り、「どうやったら入手できるのか?」という問い合わせや、「なぜ俺が貰えないのか。俺には配布されて当然のハズだ」といった声も人づてに聞こえてきた。私もそういう経験がある。
他の機関が刊行した報告書を入手したくて問い合わせても「販売していないんです。どこかご近所の研究・調査機関の書庫へ行ってコピーして下さい」というお答え。
かと思えば、販売していなくても、研究上どうしても欲しいとお願いしたら無償で配布してくださったところもある。なかには、「配布用の残部が全くないのでコピーして送ります」と本文236ページ・図版73ページにもおよぶ著名な古墳の報告書を丸ごとコピーして、1枚1枚をちゃんと袋折りしてから送ってくださったF市教育委員会のような、同業者として尊敬に値する素晴らしい機関もある。m(_ _)m
それぞれの機関で各々理由は違うけど、なかなか販売用の報告書って作れない。
今回の場合は、調査をおこなった任意団体が府県レベルから業務の委託を受けて発掘して、その成果品として報告書を刊行したので、ちゃんとした配布の理由がある配布先にしか報告書を送ることができない。たとえ、販売用を作って売っても、販売済みの報告書の代金と売れ残り残部を、業務完了後に消滅する任意団体が抱えていることは不可能なのだ。
記録保存目的に報告書出すというのと、普及啓蒙目的で出版物を出すのとは意味合いが違う。限定少数部の報告書が成果品としてあれば、事務的には充分に記録保存が完了したことになる。
いまはどうあがいても販売用は作れないから、この遺跡のデータを保存・公開する博物館のミュージアムショップで、なんとか販売ができるように再版本を刊行したいなぁ・・と個人的には思っている。ただ、どこもかしこも財政事情が財政事情だからかなり厳しいだろうけど。
それにその博物館のその時点での学芸員が、この報告書のデータ報告以外の記述内容に不満を持っていたとしたら、予算があっても、販売にまでこぎ着けるのはシンドイでしょう。どうなることやら・・・。
ちょっと前から、某都道府県教育委員会がいつも刊行している味も素っ気もない白表紙の報告書を購入することができるようになった。センターが刊行している報告書のように、「図書頒布のご案内」を出して広く販売しているわけではないが、ご入り用のかたは、某都道府県教委の文化財担当者を通じて購入することが可能だ(その担当者とあなたが親しいお知り合いならば購入可能・・。どうせなら誰でも購入できるシステムにすればいいのに)。
「なかなかやるな。某都道府県」と思うのは早計だ。
ちょっと前までは、某都道府県の文化財担当者は、業務上必要と考えられて、そこの教育委員会刊行の報告書とセンター刊行の報告書を配布されていた(と思われる)。これは、他の都道府県でも同様な状況があると思う。西の方の某都道府県では、市町村の文化財担当者個人にまであまねく配布していたこともあったと伝え聞く(今もそうかもしれない)。
こうした配布は、埋蔵文化財を記録保存し、その調査成果を最大限に活用しようとするならば当然必要なことかもしれない。
だが、財政がかなり逼迫してきて危機的状況に陥っている某都道府県では、そうした配布をあきらめたようだ。当然、センター刊行の報告書は教委の文化財担当者には配布されない。そして、教委が刊行する報告書も、たとえ、業務上絶対に必要不可欠であろうがなかろうが、身銭を切って購入しろということらしい。ただ、担当者それぞれが常識的な範囲で必要部数を購入可能なので、外部にいる我々にとっては朗報だ。知り合いがいればその人を通じて購入することもできる。
「なんでウチがつくっている報告書まで買わなあかんねん。どないしても仕事に必要やのに、身銭を切らなあかんのか」と嘆く知り合いの姿を横目に、私はこの変革をありがたいと一人でほくそ笑んでいる。
ごっつい古墳がいっぱいある隣接都道府県刊行の『●●●史跡名勝天然記念物調査報告』も、10年くらい前のように印刷会社での一般販売用を増やしたらいいのにな。もっと担当者配布用を減らして・・・(絶対おこられるな・・)。