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覚書9 なまえ

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●名は体をあらわすか? 体は名に縛られる。

なまえって本当に大事だ。僕らひとりひとりに親がつけた名と最初から決められていた姓は、その姓名の持ち主に対するイメージを固定化する。周囲の人の意識はもとより本人の意識までも、その姓名がイメージを植え付けているのだ。だから、あえて通り名を使ったり、改姓するのがいやで結婚をしようとしても入籍をしない人もいる。また、僕のようにハンドルネームをネット上で愛用する人も多い。だが、姓名にしても通り名にしてもハンドルネームにしても、名前を決めがたいからといって、山田花子(仮称)とかおがみ大五郎(仮称)とか称する人はいないだろう。ところが組織や施設となると、やたらと仮称が多用される。

組織や施設の名称を簡単には決められないからといって、とりあえず用いられる仮称も年月が経つと、知らないうちに人々の意識に定着してしまう。なじみが出てくるわけだ。たとえば、最初は控えめな気持ちで使われていた●●●資料館という仮称があるとする。すると、開館に向けて準備中のこの展示保管施設は博物館じゃなくて、あくまでも資料館なのだと関係者に印象づけてしまうようだ。人々の深層心理になまえが刷り込まれるわけだ。となると、開館準備中であるこの館の関係者は、予算面においても運営体制においても、博物館ではなく資料館のあつかいで良いのだと思われたりして大いに苦しんだりする。せめて牛丼屋のように、できれば資料館大盛りとか、資料館特盛りとかもメニューに加えてほしいものだ(なんのこっちゃ・・)。

いうまでもなく、博物館法に規定される公立の博物館においては、昭和48年に告示された「公立博物館の設置及び運営に関する基準」に示されている運営体制が推奨されている。(博物館学やら博物館実習やらを学生時分に受講した人ならば当然知っていることだが、東京と京都と奈良にある国立博物館は、設置経緯等に起因して、博物館法に規定されていない国立の博物館という非常にややこしい位置づけとなっている。佐倉や吹田の国立博物館も大学のような位置づけだから別扱いだ。余談だが念のため。)

<公立博物館の設置及び運営に関する基準(昭和48年11月30日)第12条>

都道府県及び指定都市の設置する博物館には、17人以上の学芸員又は学芸員補を置くものとし、市(指定都市を除く。)町村の設置する博物館には、6人以上の学芸員又は学芸員補を置くものとする。

知っている人は当然知っていることだが、つまり、●●県立博物館と名乗る博物館法に規定される正真正銘の博物館(登録博物館)では、17名以上の学芸員を配置するべきとされている。同様に、●●市立博物館と名乗る博物館法に規定される正真正銘の博物館(登録博物館)では、6名以上の学芸員を配置するべきとされている。ただし、これは必要充分条件ではなく、あくまでも推奨条件だ。この数字は総合博物館を想定しての員数であろうが、登録公立博物館でこの学芸員数を揃えている館はそう多くない。つまり、教育委員会所管の館は、こうした推奨条件とは関わりなく登録博物館となることが可能である。教育委員会所管外の「博物館」や「資料館」の場合は、博物館法第29条によって規定される博物館相当施設となっている場合が多い。

<博物館法第29条>

博物館の事業に類する事業を行う施設で、国が設置する施設にあっては文部大臣が、その他の施設にあっては、当該施設の所在する都道府県の教育委員会が文部省令で定めるところにより、博物館に相当する施設として指定したものについては、第9条及び第27条第2項の規定を準用する。

またまたこれも当然のことながら、博物館相当施設として運営される「博物館」は、国立以外の場合、都道府県教育委員会から指定を受ける必要があるのだ。この指定の際には、昭和30年に定められた博物館法施行規則第19条に列挙されている要件を満たしているかどうかが審査されるらしい。

<博物館法施行規則(昭和30年10月4日)第19条>

文部大臣又は都道府県の教育委員会、博物館に相当する施設として指定しようとするときは、申請に係る施設が、次の各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査するものとする。
(1)博物館の事業に類する事業を達成しようとするために必要な資料を準備していること。
(2)博物館の事業に類する事業を達成するために必要な専用の施設及び設備を有すること。
(3)学芸員に相当する職員がいること。
(4)一般公衆の利用のために当該施設及び設備を公開すること。
(5)1年を通じて100日以上開館すること。

ここに示されているように、博物館相当施設では「学芸員に相当する職員」を配置せよと要件づけられているだけで、何人の学芸員が必要とは書いていないし、学芸員に相当するならば技術吏員であってもよい。だが、概ね必要な員数は各々自主的に決められているようで、例えば某府県にある歴史系の登録博物館と歴史系の展示施設(博物館と呼称されている)の2館では、学芸員を6名配置している。

どちらにせよ、教育委員会以外の部局が所管する現在開館準備中の館があったと仮定して、そこに配置される予定の学芸員の数が5名でも4名でも3名であっても、博物館相当施設の要件は満たされている。公立の展示・保管施設であっても、登録博物館でも博物館相当施設でもない「博物館」も実際に存在し、充分な博物館活動を展開している。また、充分な数の学芸員を配置して立派に博物館機能を果たしている「資料館」を名乗る館だって存在するだろう。だから、名称がなんであろうとも、博物館相当施設でなかろうとも、運営上にはほとんど不都合がないのである。だが、館の名称というものには、調査・研究活動を館としてどの程度おこなうことが可能かどうかという運営方針、すなわち運営者の自信・自負のほどがそこに表れているものだとも思う。「資料を展示・公開しますよ」というだけでなく、いろいろな博物館活動をおこなっていこうという組織としての意識が強ければ博物館を名乗る確率は高くなるだろう。ま、時々、なんじゃこりゃと思うような館が恥ずかし気もなく●●大博物館とか名乗っているようなケースも見かけるが・・。

とにかく、国民・府民・市民が館を目にしたとき、どーみても「博物館」だと認識するのは間違いないようなイレモノを作っておいて、開館直前にいきなり梯子を外すように「こんなもん、博物館とちゃう。資料館と名乗ったらええやん」などと言うような情けないことは言わないでほしい。館の名前がどうあろうとも館の内容こそが大事なのだということは重々承知しているが、開館後の館の活動を抑制させんがためにあえて資料館と名乗らせようといういやらしい考え方が存在することに苛立ちを覚えるのだ。


※上記の文中にてたまたま特定の組織等が想起されてもそれは読まれる方の自由ですが、筆者は特定の組織を意図していませんので、お間違いの無いようにお願いします。なお、法文などの事実関係について誤った解釈などがありましたら、ご教示ください。また、記述内容の事実確認などの質問は受け付けません。

[登録:2000年06月28日]
おがみ大五郎


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