公立博物館の黒字とは
大阪府立の博物館存続の是非が世間で話題になっております。 儲からないけど、公教育のため、文化遺産継承のために、文化財保護・活用のために必要であり、その投資効果はじんわりとしかし確実に未来で現れるものと期待して、日本各地に博物館が建設・運営されてきたはずです。
博物館法の精神に基づけば、本来、公立博物館は無償で利用できるものでなければなりません。
これを廃止するのもやむを得ない…という結論をもし万一、行政が示すならば、もはや我が国の社会教育行政・文化財行政は来るところまで来てしまったといえましょう。 近つ飛鳥の修羅が腐っても、狭山池の飛鳥時代の樋管が腐っても、全然構わない。人の命に関わらないのだから気にすることはないというのならば、もはや、この国の文化は三流国並であり、第2次世界大戦中の状況よりも劣っていると判断できましょう。 府県レベルにおいても、博物館展示品の指定文化財すら保護できないとなれば、発掘調査現場での種々遺構・遺物の記録保存も、人の命に関わらないのですから無意味なことであると認識されましょう。
昨年、横穴式石室の素晴らしい特別展を開催した博物館の存続に関する話題でもあり、鬱々たる感情をここで吐露してしまいましたが、これは大阪府だけの問題ではありません。全国の公立博物館は、運営費をほとんど持ち出し(マスコミに言わせれば大赤字)のはずです。これが社会悪だと断定されてしまう世情なのです。
図書館はたしかに必要不可欠なセーフティネットです。お金がなくても誰でも無料で知識を得ることができる。私もその恩恵に預かってきたので身にしみて分かります。でも、図書館だけ守っても、我が国の教育・文化を最低限保つことはできません。 文化財保護、考古学調査・研究なんて、世のためにならない無駄であると断じられるわけにはいきません。これは、重大な局面であり、我が国固有の文化を守っていくことができるのかどうかの、全国民的な問題提起であると私は思います。いかがでしょうか。

